予防接種って?
予防接種がなぜ必要なのですか?
予防接種を行う病気はいずれも、かかると治る人もいますが、必ず一定の割合の人は重篤な状態になり、後遺症に苦しむこともあり、不幸にして亡くなる方もおられます。現在の医学ですべての人を完治させることは困難な病気に対してワクチンが開発されたのです。自分の子どもがその一定の割合の不幸な人にならないという保証はありません。逃れる手段は恐ろしい病気にはかからないことだけです。そのような不幸な子どもがでてこないように、かからないための予防接種を行います。
予防接種はほんとに有効なのですか?
予防接種の有効率(かからないで済む割合)は種類によって異なります。残念ながらすべての人が100%予防できるワクチンはありません。罹らなくなるためには、体の中にその病気に対する一定量の免疫が必要ですが、同じワクチンを使っても人によりできる免疫の量が違います。一定量以上の免疫ができた人はかからなくなりますが、その量より少ない免疫しかできなかった人はかかってしまいます。しかし特別な病気の人を除いては、免疫のできない人はなく、不十分でも免疫はできます。不十分な免疫のため完全に感染を阻止できなくても、軽症にすることはできると考えられます。免疫が最もうまくできて長期間維持できるように接種計画が立てられています。
副作用が心配ですが大丈夫ですか?
ワクチンを含むすべての薬剤は、期待する効果以外の作用が多かれ少なかれでることがあります。期待する効果とそれ以外の作用とのバランスで、ワクチンを接種するかどうかや薬剤では投与するかどうかを判断します。ワクチンでは接種しないでかかった場合の重篤さに比べ、接種して発生する副反応の頻度や重篤さは、比較できないほど軽微であることがこれまで世界中で行われた研究や経験で明らかにされています。
たくさんありますが、いつからどのように進めればよいのですか?
ワクチンはいろいろな理由で接種可能な月齢・年齢が決まっています。しかしワクチン接種可能な月齢・年齢までその病気にかからないわけではありません。それ以前にかかることもありますから、できるようになり次第なるべく早く接種することが子どもを守る大切な手段です。基本的には生後2か月からですが、それ以前に接種できるものもあり、状況によっては一部を早く接種する場合があります。とりあえず2か月になったらもらっているすべての接種券をもって受診してください。そこで接種計画を立てましょう。心配なことがある場合は受診前に電話で相談してください。接種の途中で病気や都合で計画通りに進まなくなった場合も相談してください。最適な方法を考えましょう。
同時接種(複数のワクチンを同時に接種する)は安全なのですか?
ワクチンと次のワクチンを接種する間隔は一定の期間を空けなくてはなりません。同じワクチン間や別のワクチン間でも異なります。複数のワクチンを1種類ずつ接種すると、その組み合わせが複雑になります。また最終的に終了する(免疫が完成する)までの時間が同時接種で進めていく場合と比べて数か月遅くなります。途中で病気や都合で遅れた場合も接種計画の再設定はとても複雑になります。ワクチン終了が遅れるということは、免疫の完成が遅れることになり、免疫によって守られていない無防備な期間(病気にかかる可能性がある期間)が伸びるということで、子どもにとっては極めて不利益です。同時接種の安全性(副反応の発生率や程度は増えない)と有効性(ワクチンの効果が減ることはない)については医学的に証明されており、実際に世界中の国々で同時接種が行われています。日本小児科学会も同時接種をお勧めしています。